Mimaのゆるっと趣味ルーム

観た映画や聴いた音楽についてつらつらと思ったことを書くブログ。普段はゆるっと、ごく稀に大真面目に。

アルバム『24K Magic』の源流を探る - 80'sサウンドと90'sグルーヴの見事な融合

お久しぶりです。Mimaです。

 

かなり長期間更新が滞ってしまっていましたが、またゆるりと再開しますのでよろしくお願いいたします。

 

少し前の話になりますが、ブルーノ・マーズグラミー賞主要部門を独占、ノミネート部門すべてで賞を獲りましたね、おめでとうございます。なんか「スムーズにかっさらっていった」感じがしませんか?ブルーノ・マーズならやってのけそうな偉業です。

 

さて今回は、そんなアルバム『24K Magic』のシングル曲を軸に、その源流を探ってみたいと思います。と大げさに言いましたが、「この曲好きならこれもおすすめだよ」程度のものです(笑)

 1st single - 24K Magic

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ブルーノ・マーズは最新作について、「90年代のスピリットがある」と言っています。確かにその通りだと思いますが、個人的に80年代、特に後半から90年代は「グルーヴ」という点で非常に繋がりの強さを感じます。このアルバム、およびタイトル曲は、サブタイトルにも書いた通り「80年代のキラキラしたシンセサウンドと90年代の打ち込みによるグルーヴ」をミックスさせたような曲です。特に出だしのトークボックスを利用したエフェクトは、80年代にはロジャーが利用し時代のサウンドに、90年代にもそれが2Pacの「California Love」で利用されていました。

とは言いつつ、私はこの曲にはより80'sを感じます。それは何よりシンセサイザーの音色と、ファンキーなドラムビートが理由でしょうか。特にこの曲からは、ブルーノ・マーズがマーク・ロンソンと発表した「Uptown Funk」に近いものを感じます。つまり、ミネアポリス・サウンドに大きく影響を受けていると思うのです。

そこで、この曲が好きならミネアポリス・サウンドにさかのぼってお勧めしたい曲があります。

Prince - 1999

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収録アルバムは1983年発表、『1999』。ミネアポリス・サウンドのパイオニアにして、プリンスの出世作であり代表作であります。シンセサウンドとシンセドラムの強烈なグルーヴは、明らかに「24K Magic」に通ずるものがあるでしょう。

このアルバムにはほかにもダンサブルでキャッチーなナンバーが並んでいるのでぜひ興味があれば聴いてみてください。

 

2nd single - That's What I Like

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この曲は、アルバム中最も90'sの雰囲気を感じる曲です。808の打ち込みを使ったリズム、スウィングするようなメロディとサウンド。源流となるのは、90年代前半~中盤に登場したR. ケリーやベビーフェイスを思わせるような、メロディアスでありながらヒップホップのようなリズミカルなテンポをもつソウルナンバーでしょう。

私がこの曲に近いものを感じたのは、それらを源流に、90年代後半に入ってクラブシーンを賑わせたダンスチューンたちです。特に、打ち込みのリズムで連想したのが次の曲。

Destiny's Child - Say My Name

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アルバムは1999年発表、『The Writing's on the Wall』収録。この曲のプロデューサーは、90年代半ば以降R&B、ヒップホップのシーンで活躍したロドニー・ジャーキンス。最初のミックスは、ビヨンセによって断られてしまったそうですが、その後再ミックスしたところビヨンセ含めメンバーからも好評で、レコーディング、シングルカットに至ったという逸話があります。打ち込みのドラムサウンドが前面に主張するまさに90's R&Bのグルーヴ。これに80年代的シンセ音で味付けすると、ブルーノ・マーズの「That's What I Like」のようになるのではないでしょうか。

 

3rd single - Versace On The Floor

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この記事を書く際に、他のブログやまとめサイト等参考にさせていただきましたが、この曲に関する多くの感想は、「マイケル・ジャクソンみたい」というものでした。確かにマイケルらしさ満載の一曲です。特にブルーノの高音域が伸びるボーカルスタイルはマイケルそのものと言っていいくらいでしょう。ただ、私がこの曲を聴いて最初に連想したのは、スティーヴィー・ワンダーでした。スティーヴィーの高音域はどちらかというとミックスボイス、さらに言うならベルティング(平べったく言うと地声8割、裏声2割のイメージ)のような気がしますが、私はむしろシンセサイザーのたおやかなサウンドとメロディアスな作りに、80年代のスティーヴィーらしさを感じました。

Stevie Wonder - Overjoyed

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この曲は、聴いていただくとわかるように、自然の音をパーカッションとして使っています。なので「Versace On The Floor」のようなグルーヴ感ではありません。しかし何といってもこのメロディ、そしてシンセサイザーを巧みに利用した暖かなサウンド、どこか通ずるものを感じませんか?最後転調するところも似ていたりして、曲の構成も連想させるものがあります。アルバムは1985年、『In Square Circle』収録。名盤です。

 

4th single - Chunky

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オーストラリアのラジオ媒体でのみ発売されたシングルです。個人的には、この曲が最も80'sサウンドでしょうか。というのも、リズムがディスコ調だからです。シンセサイザーのメロディも、どことなくNYディスコを思わせます。この曲を聴いてすぐに連想した曲があります。ブルーノも元ネタにしたのではないかと思ってしまうほど、特にサビの作り方が似ているのです。

Michael Jackson - Baby Be Mine

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作曲は、マイケルとのコラボも多いロッド・テンパートン。彼は、70年代後半のディスコ、ファンクシーンを彩ったバンド、ヒートウェーヴのキーボード、シンセサイザー担当でした。その後はこの曲のプロデューサーでもあるクインシー・ジョーンズの秘蔵ソングライターのような形で、様々なアーティストに楽曲提供をしています。ミドルテンポながら踊りやすいリズム、シンセ音のキラキラ感、ブルーノの「Chunky」と似ていませんか?私は半ばこの曲を基に作ったと信じております。アルバムは1982年発表、『Thriller』収録。未だに世界で最も売れたアルバム、歴史的名盤です。

 

5th Single - Finesse (Remix)

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この曲は確実にニュー・ジャック・スウィングへのオマージュでしょう。ニュー・ジャック・スウィングとは、80年代後半から90年代前半にかけて流行ったR&Bとヒップホップを融合させる初期のスタイルのようなものです。ニュー・ジャック・スウィングというと外せないのはプロデューサーのテディ・ライリーで、彼が中心にこのような音を作り上げました。代表的なところなら、マイケル・ジャクソンのアルバム『Dangerous』です。ただ、90年代に入るとニュー・ジャック・スウィングの音も多様化してくることと、マイケル・ジャクソンを2曲連続で紹介するのは味気ないということで、別アーティストの代表的なニュー・ジャック・スウィングを貼っておきます。

 

R. Kelly & Public Announcement - She's Got That Vibe

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R.ケリーというと90's中盤のR&Bというイメージが強いですが、彼のメジャーデビューはかなりニュー・ジャック・スウィング寄りのサウンドをしていました。アルバムの評価はあまり芳しくなく、その後R.ケリーはメロディアスな分野で多彩な才能を発揮していきますが、私はこの曲、キャッチーで癖になります。英語でいうところの「guilty pleasure(表立って好きとは言わないけど、実は好き)」みたいな位置づけにあります。アルバムはR.ケリー入門にはおすすめできないですが、曲はポップでハイクオリティと思います。1992年発表、『Born Into The 90's』収録。

 

終わりに

以上で(執筆段階での)全シングル曲と、その源流にある曲の紹介です。とどのつまり言いたかったことは、アルバム『24K Magic』はレトロなサウンド、グルーヴを持っており、その源流は多彩である、ということです。2018年度のグラミー賞総なめも納得の名作だと思います。まだ聴いてないという方はぜひブルーノ・マーズの最新作を、そしてぜひ源流にもさかのぼってみてください。

 

最後まで付き合ってくださりありがとうございます。それではまた次回。